Hitoe Fold 開発秘話
本日は、Hitoe Foldの製品開発についてお伝えします。
2019年11月に発表したHitoe Foldですが、その開発は8月から始まりました。
上部にコイン、下部にカードで2つ折りの構想は、2018年 L-zip Sで試行錯誤している当初からありました。
しかし、上にコインポケットがあると、カードを抜くのに邪魔になります。カードを横から抜くと、今度は、移動中にカードが落下する恐れがあります。
そこで、アイデアは止まっていたのですが、カードに革を掛けることを突然閃いたのが、昨年夏のことでした。
カードに革を掛けることで、カードの落下を防ぐと同時に、財布の留め具となり、そのためのカードポケットの切り欠きが、カードの出し入れを容易にします。金物を一切使用せず、サイズも小さく、デザインもミニマルに。
思いついたその日のうちに、試作を製作し、家に帰るときには、早速使い始め、画期的な製品になることを確信して興奮していました。
SYRINXは基本的に、知財出願まで社外秘として外部に漏らさず、試作を含め、すべての開発を極秘に進めます。ファブレス経営でも、可能な限り試作は外部委託せず、内部化することで、フィードバックのサイクルを格段に早め、完成度を高めることができます。
試作は、図面をCADで作図し、レーザーカッターで革を正確にカットし、手縫いで縫製します。自ら作ることで、製作上の課題や改善点も見えてきます。完成品は、しばらく使い勝手を確認し、問題点を洗い出し、新たな試作品へとフィードバックします。
数回それを繰り返し、最終仕様をまとめ、10月に意匠登録を出願。11月に特許も出願し、同日、プレ製品発表に至りました。

使用した上の製品写真は、まだ内部製作の試作品(トップにも掲載したPrototype-8)です。しかし、発表直後から、その完成されたミニマルさはSNSで大きな話題を呼びました。
製品開発はこれで終わりではありません。次に量産の準備に入ります。まずは、生産委託先の選定から。数社にサンプルをお願いしましたが、独自の立体形状を平らに潰し、厚い革を細いマチで高い精度で縫製する難易度は高く、なかなか満足できる仕上がりに至りません。しかし、素晴らしい仕上がりが一社ありました。すでに革小物製造で50年の経験を持つ大御所が主宰する革工房です。
この出会いが、新たな製品開発のきっかけとなるのですが、それは後日。
12月に量産サンプルの確認・最終試用を経て、年始から量産を開始。2020年2月にクラウドファンディングを開始するに至りました。
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